易・八卦

古代中国の天文学では、北極星を中心とする中宮を最高神〈太一〉といい、そのまわりに天地をはじめとする八つの系列を配置し八方位とした。このうち原初の天の秩序のことを「先天八卦」、そして内的世界を含め、北から見た自然界の秩序のことを「後天八卦」と呼んでいる。一般には、この「後天八卦」の方がなじみ深く、風水診断では、自然地形と人の精神世界に重点があるため、「後天八卦」を基本としている。

易は宇宙自然の変化のタイプや位相・方位・時間といった変数を統合的に判断し宿命や運命を占うものであり、その実践は大変難しく、ある種のフィーリングがもとめられるシステムである。たとえば、易の広告看板に良く見かけるHakke_Icon_06Hakke_Icon_08といったものは前者が地天泰、後者が天地否といわれるものであり、易では陰・坤・地をHakke_Icon_10、また陽・乾・天をHakke_Icon_03と表記する。Hakke_Icon_06は本来、下にあるべき地が上にあり、上にあるべき天が下に来ているかたちを示すが、それは天地が互いに交わり、地の気は常に上昇し、天の気は下降する様相を表している。逆にHakke_Icon_08は、天が天であり地は地であると分離したままで、少しも交わる気配がないということになる。中国では上にあるべき天が下にあり、下にあるべき地が上にある「地天泰」の方を動的安定とみる。したがって天下安泰とは、まさに天が下にある状態をさし、易者の看板にHakke_Icon_06のマークがよく好んで描かれるゆえんになっている。

Hakke