代表者
岩野正英(いわの・まさひで) 代表取締役

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代表者略歴
1950.2 北海道旭川市生まれ
1968.3 神奈川県立多摩高等学校卒業
1968.4 京都工芸繊維大学建築工芸学科入学
1974.3 京都工芸繊維大学建築工芸学科卒業
1974.4 大末建設入社(主に設計・企画部門に従事)
1981.9 大末建設退社
1982.5 都市デザイン研究所設立
1982.5 ギャラリー・グラーフィン開設(クラフトギャラリー)
1985.7 TASK建築計画事務所設立に参画
1988.5 アートワークス・サラ開設(アートワークスギャラリー)
*ギャラリー移転に伴う名称変更
1990.2 株式会社インデックス設立(一級建築士事務所)
1995.1 インデックス・ギャラリー開設(テーマギャラリー)
*ギャラリー移転に伴う名称変更

風水と園林を生かして、商業施設から住宅までをトータルプロデュース
需要を生み出すキーワードは、“自己実現”と“自己満足”

建築業界は今“器としての建物は、こと足りている”という深刻な問題に直面しています。住宅・マンションしかり店舗・オフィスしかりといった具合です。日本では“ものを作れば売れる”といった時代はとうの昔に終わり、“良質なものを安く”というローコストでクオリティーを重視した建物づくりが始まりました。しかし、この考え方も行き詰まってきています。そこで、現状を打破するべく“あなたのために”という付加価値を提供すること、つまり個々人のライフスタイルを問い直した上で新しい生活像をイメージする行為が大切になると思います。
都市計画などの公共施設では、デザインの基準を万人のための〈公正さ〉に重きを置き、また商業施設や土地の有効活用では費用対効果などの〈効率〉を追求しているのですが、それだけでは新しい需要を生み出す力にはなりません。現在、政治・経済界では新しい需要を生み出すキーワードとして“環境”や“エコ”が挙げられていますが、実はもう一つ“自己実現”と“自己満足”というキーワードがあると私は考えています。これらは〈文化〉といわれているもので、いいかえれば〈文化〉は自己表現をし自分自身を納得させる自己満足の度合いがその原動力となっているのです。
自己表現するには仕事より余暇や趣味・娯楽といった“遊び”の領域のほうが自由度が圧倒的に高いので〈文化〉は遊びの中で育まれます。この“遊び”を含めた各自のライフスタイルを今後人々が見つめ直すことで、新しいニーズがうまれてくるはずです。

では、どのようにしてライフスタイルを見つめ直せば良いのでしょうか。私はその手段の一つとして園林(えんりん)的ライフスタイルを提案しています。
近年話題の風水を育んできた中国に、園林思想と言われる考え方が古来より存在しています。5世紀にはじまる宋の南朝では、貴族の間で四つの庭(園林)を保有することが一種のステータスとされていました。邸居(歌舞音曲を楽しむ自邸の庭)、郊居(風景を楽しむ庭)、園田居(旬の味覚を楽しむ庭)、山居(精神をリフレッシュする庭)の四つです。庭は趣味、余暇などの人生における遊びの部分ですので、庭を保有することは贅沢(ぜいたく)といった考えもありますが、この四つの園林に内在する本来の役割を問い直してみると、それぞれのライフスタイルの全体像が浮かび上がってきます。趣味を楽しみ、風景を見ることでイメージする力を育み、自然の風物を慈しみ、生命体としての再生を図る。これらはすべて人間の生活には欠かせないものです。
四つの庭(園林)について考えることは、自ずとその人と家族の日常の暮らしの全シーンを把握することにつながり、その様は十人十色です。四つの庭を通してライフタイルを見つめなおしてみて、欠落している部分が見えてきたら、そこを補えばいいんです。また、すでに大切にしている部分であるのであれば、より充実させればいいのだと思います。園林的ライフスタイルって、すてきな響きじゃありませんか!
そのイメージ作りをお手伝いすることが、私たち建築設計に携わる人間の役割だと考えています。

クライアントの思いや生活を理解するという〈人〉とのかかわりから出発し、〈場所〉→〈もの〉→〈コスト〉へと展開するエディションがデザインの流儀です。
一方で中国古来の風水とは、土地が持つ地勢を知り、建物を考え、周囲の自然環境とのバランスを図り、最後にその建物に住む人全員の適性を見て、総合的に建物診断をしていく優れた東洋的建築技術です。私自身は建築に携わる時、風水と園林の視点を反映させたデザインを心がけていますが、通常はこのコンセプトを表に出していません。もちろん興味をお持ちの方には、風水と園林のお話しをして、デザインを考えていく上での共通の土俵を作るようにしていますが、出発点はあくまで〈人〉そのものですので、まずはクライアントの思いや生活を理解することにつとめています。その上で場所や建物用途・素材などがもつ潜在的な諸要素を編集(エディション)して具体の空間に結実していくのが私どもの仕事です。
私たちは原初のイメージそのものをつくり出すアーティスト(作家)でもなければ、残念ながら〈もの〉を造作する職人(クラフトマン)でもありません。
あくまでイメージを編集し、人が生きる空間を提案するデザイナーなのです。